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ITや通信の技術進歩とともにさまざまなシンクライアントの仕組みが生み出されてきました。
シンクライアントの実現方式と種類についてみてみましょう。
シンクライアントの実現方法は2種類

シンクライアントの仕組みには大きく分けて「ネットワークブート方式」と「画像転送方式」の2種類の実行方式があります。

ネットワークブート方式

ネットワークブート方式は、サーバー上にあるイメージファイルをネットワーク経由で読み込み、OSやアプリケーションをクライアント端末でブートする(利用可能な状態にする)方法です。

クライアント端末で使用するイメージファイルは単一なため、管理が非常に容易になるメリットがあります。しかし、ユーザーごとに使用する環境が異なる場合は、その環境ごとにイメージファイルを用意する必要があり管理に手間がかかります。

端末起動時にアプリケーションを含めたOSイメージ全体がネットワークを流れるため、ネットワークへの負荷の大きさが問題となることがあります。したがって、安定したネットワーク環境が重要です。
また、アプリケーションで作成したデータはクライアント端末からサーバーへファイル転送してサーバーに保存される仕組みのためネットワークでの情報漏洩のリスクがあり、その面でセキュリティ対策が必要となります。

画面転送方式

画面転送方式は、クライアント端末ではほとんど処理をせず、サーバー側で処理を行います。サーバー側の処理結果の画面がクライアント端末に表示され、クライアント端末では操作指示などの「出入力」のみを行う方法です。

この方法でもネットワークを利用しますが、通信によって送受信される情報は画像と操作情報だけです。したがって、やり取りするデータ量も少なくなり遠隔地でも社内と同じようにパソコンや業務システムなどを利用できます。

実現方法の比較
方式ネットワークブート方式画面転送方式
仕組みサーバーでデータ保存を行う
プログラム実行はクライアント側で行う
サーバーでデータ保存やプログラム実行を行う
メリットユーザーごとに使用する環境が同じ場合はイメージファイルが単一になり管理がしやすい送受信するデータ量が少ないため、遠隔地でも利用しやすい
デメリット・送受信するデータ量が多いため、最初の起動に時間がかかる
・ネットワークでの情報漏洩リスクがある
サーバー側で動かないアプリケーションがある
画面転送方式のタイプは3種類

画面転送方式には大きく分けて「サーバーベース型」「ブレードPC型」「VDI型」の3種類があります。

サーバーベース型

「画面転送方式」に分類されるシンクライアントのひとつです。アプリケーションの実行など全ての処理をサーバー上で行い、端末側は遠隔操作端末として操作と画面表示のみを行う仕組みです。サーバーから端末には画面情報が転送され、端末からサーバーへはキーボードやマウスの入力情報が転送されます。

特長は、サーバー上のアプリケーションを、アクセスするユーザー全員で共有することです。
1台のサーバーに複数のユーザーが同時ログオンして使用する(マルチユーザー)ため、マルチユーザー対応されていないアプリケーションの互換性や印刷、ライセンス面での整理が課題とされていました。近年はマルチユーザーに対応したアプリケーションやプリンタドライバがリリースされて技術的な課題は解消されつつあります。なお、現在一部の製品ではマルチユーザーに対応していない Windows アプリケーションも、CPU やメモリ空間、ファイルシステムやレジストリ空間、IPアドレスまでユーザー毎に仮想独立化する技術を利用し、サーバーベース方式で動作させることが可能となっています。

同一のアプリケーションを使用するため比較的低コストかつ管理がしやすいのがメリットです。その一方で、接続元端末それぞれが違うアプリケーションを利用することはできません。

また、サーバーへのアクセスが集中すると性能を確保しづらくなったり、アプリケーションの不具合が発生すると接続しているすべてのユーザーに影響を与えるといったリスクもあります。

ブレードPC型

サーバーベース型で課題となっていたWindowsアプリケーションの互換性の課題を改善することを目的に考案された方式です。手元の接続元端末側で操作、画面表示だけを行う点はサーバーベース型と同じです。サーバーベース型でのサーバーと端末の通信方式はそのままに、サーバーではなくたくさんのブレードPCを並べる形です。ブレードPC上ではクライアントOSを動作させます。

ブレードPCは接続元端末ごとに用意されているため、ネットワーク経由で専用PCを使用しているようなもので使用感は通常のPCと変わりません。したがって、CADなどの負荷の高い業務でも性能を確保しやすく、アプリケーションを個別にインストールすることも可能です。

ブレードPCが接続元端末ごとにが必要となるということはそれだけ初期コストが高くなりがちで、端末数が増えるとその管理も煩雑になるというデメリットがあります。

VDI型

サーバー上に仮想化されたデスクトップ環境を構築し、ローカルのクライアント端末からネットワーク経由でアクセスする方式で、クライアント端末では操作と画面表示のみを行う仕組みです。ブレードPC型では、ユーザー分の物理的なPCを用意する必要がありましたが、VDIでは仮想技術を用いて、1つのサーバー上に複数の仮想マシンを用意するだけです。ユーザーは個々の仮想マシンに接続して使用します。

OS・アプリケーション・データはサーバー上に集約されクライアント端末にはデータが残らないため、端末からの情報漏えいを抑止することが大きなメリットです。端末の管理にかかるコストの削減と、管理性の向上にもつながります。

また仮想マシンはクライアント端末ごとに環境を構築するため、アプリケーションの動作不良による影響が全ユーザーに及ぶことが少ないのもメリットです。ただし仮想アプリケーションにはライセンス費用が発生し、仮想環境の管理も求められます。

ネットワーク環境さえあればどのクライアント端末からでも自分用の画面や環境を使用できる点がとても便利で、そのため社外で業務を行うテレワークや、席を固定しないフリーアドレスなど、今注目されている多様な働き方ができようになる実装方式です。

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シンクライアントにもいろいろな実現方法があることが、
お分かりいただけましたか?

Office Cloud がオススメする方式は?


オススメは、「画面転送方式のサーバーベース型」です。
画面転送方式は現在の主流であり、シンクライアント関連のサービスはほとんどがこの方式になります。では、なぜサーバーベース型がオススメなのでしょうか。
中小企業において、ブレードPC型のようなハードウェア筐体をそれぞれ用意する方法はコストがかかりすぎます。また管理するOSも増えるため、管理コストも上がります。
VDI型も同様に、それぞれのOSを稼働させる必要があるため、ハードウェア/ライセンスコストがかさばってきます。
オススメするサーバーベース方式は、集約率が高いことから「CPU/メモリ/HDD」などのコストが圧縮しやすく中小企業が導入しやすい方法になっています。OSが集約されるため、管理も一元化しやすく、管理コストも下げることが可能です。

弱点としては、「稼働しないアプリケーションがあること」。
Windows Server OS を利用するため、サーバーOSにインストールできないアプリケーションが稼働しません(例えば、同時起動ができない / マルチユーザー化されていない古いアプリなど)。

解決方法は、サーバーベース方式 + 一部特殊アプリを稼働させるVDIの複合型という方法があります。一部の特殊ソフトを稼働させるユーザー分のみVDIを構築することでコスト圧縮が可能です。

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